概要

J-REITの運用状況をまとめたレポートをご紹介します。

本レポートは、三井住友トラスト基礎研究所によるJ-REIT全銘柄の公表データの蓄積やその継続的な分析をもとに、投資主価値の代表的指標である分配金とNAV、それらに直結する主要指標を定量的に「見える化」しています。投資用途や地域、成長ステージ等の多様化が進み、全体像が掴みづらくなったJ-REITの運用状況を客観的に捉えるとともに、セクターや銘柄による違いを把握できる内容となっています。

上期(1月期~6月期)、下期(7月期~12月期)の決算が出揃う9月、3月に公表を予定しています。

 J-REITの2024年上期(2024年1月期~2024年6月期)の1口当たり分配金は前年同期比+2.2%(対象銘柄の中央値。以下同様)、1口当たりNAVは同+1.6%と前期に比べて鈍化したものの、プラス成長が継続しており(p2)、コロナ影響前の2019年下期を分配金は5.4%、NAVは12.1%上回っている(p3)。
 ただし、オフィスの稼働率は足元上昇しているものの、コロナ影響前を下回っており(p8)、負債コストも緩やかながら上昇している(p10)。そうした中で、多くの銘柄が売却益や内部留保活用、利益超過分配による分配金マネジメントを行っており、売却益影響を除いた巡航EPSの1口当たり分配金に対する比率は24年上期で91.8%と19年下期の98.0%に比べて低下している(p4)。
 それでも、J-REIT全体の2024年上期の当期利益の総額は売却益291億円を含む3,461億円(p5)、内部留保や利益超過分配を加味した分配金の総額は3,404億円で利益総額を下回り、内部留保残高は1,791億円に増加した(p6)。ホテル収益の改善が続いていることに加え(p7)、2024年上期の含み益は過去最大の5.6兆円(p5)で、物件譲渡には良好な取引環境が続いていることもあり(p9)、2024年下期も前年同期比増配の継続が予想されている(p11)。

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