三井住友トラスト基礎研究所は、2012年より、年金基金・機関投資家の皆様に対してオルタナティブ投資全般および不動産(2021年調査まではインフラ投資を含む)の目的や意向に関するアンケート調査を実施し、その結果を分析・公表しています。

「不動産投資に関する調査 2024年」 -調査結果-
~年金基金および機関投資家に聞いた最新の不動産投資動向~

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調査結果 要旨

株式会社三井住友トラスト基礎研究所では、2012年から「不動産投資に関する調査」を実施している。第13回目となる今回は、2024年11月~12月にかけて実施し、定例の質問項目に加えて、2022年以降の国内外の金利環境変化を踏まえた不動産投資方針の変更の有無を確認した。

<調査対象と方法>
- アンケート送付先:290(年金基金:155、機関投資家等(以下では「機関投資家」とします):135)
 機関投資家等・・・銀行、保険会社(生損保)、共済組合、リース会社等
- 回答数:80(年金基金:42、機関投資家:38)(有効回答率:27.6%)
- 調査時期:2024年11月~12月
- 調査方法:郵送による調査票の送付・回収

調査結果の注目ポイント

<日銀による金融政策の変更の影響>
1.5%の長期金利水準を超える場合には、投資方針の変更を検討する投資家が増える見通し

  • 2024年の日銀による金融政策の変更(3月:マイナス金利解除、YCC廃止等、7月:政策金利引上げ等)を受けた、不動産投資方針の変更の有無については、大半は「変更予定なし」との回答であった。ただし、「既に変更した」「変更予定あり」との回答割合の合計が、国内投資では年金基金:8%、機関投資家:19%あり、この範囲では2024年の日銀による金融政策の変更は、不動産投資方針に影響を与えている。変更の具体的な内容としては、「不動産投資を縮小する」「投資期間を短期化する」が上位を占めている。また、「変更予定なし」の回答者に対して投資方針の変更を検討する10年国債金利(長期金利)の水準についてヒアリングした結果、年金基金・機関投資家ともに「1.50%」「2.00%以上」に回答が集中した。調査時点の金利水準は10年国債金利(長期金利)が1%強であり、ここから0.5%程度の上昇幅でも投資方針の変更を検討する投資家が多い結果となっている。

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<今後の不動産投資方針>
年金基金及び機関投資家ともに現行維持が最多、ただし積極姿勢は減少

  • 今後の不動産投資方針については、年金基金、機関投資家ともに「現状の不動産投資額を維持する予定である」との回答が最多となり、特に年金基金では50%に増加した。年金基金では「投資を実行する/増やす予定」「投資検討すべき投資対象の一つ」がいずれも減少、両者の合計は24%となった。機関投資家でも両者を合わせた積極姿勢の投資家の割合が39%と、調査開始以来最少となった前回調査とほぼ同水準となった。年金基金及び機関投資家ともに不動産投資を拡大する意向を持つ投資家が減少している。

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より詳細な資料はこちら

「不動産投資に関する調査 2024年」 -調査結果- (PDF:1.3MB)

過去の調査結果