「緑の空間」と「住まい」の関係
~都市部の森林が新築マンション価格に与える影響
<要約・概要>
- 整備が施され市民が利用可能な緑の空間は、住宅価格を上昇させる要因となっている。本分析では、新築マンション価格(坪単価)は、①最寄りの緑の空間までの距離が1㎞短縮した場合に1%上昇、②最寄りの緑の空間の面積が1ha増加する場合に0.1%上昇する結果となった。人々は、緑の空間の周辺に住むことにより享受できる「緑」というサービスに対して、価値を見いだし一定程度の対価を支払う意思があることが示唆される。
- 近年、住居選択(新築マンション購入時)においては、交通利便性が特に重視される傾向にある。今後、人口減少が顕著になる中で、都心部から離れている(交通利便性の魅力に乏しい)郊外部の地方自治体においては、交通利便性とは異なるまちの魅力を提示し、住民を集めることが喫緊の課題である。住宅地・まちとしての魅力を向上させる一つの方法として、私有林等の整備を地方自治体が行い、市民が利用可能な一定以上の規模を有する緑の空間を創出することは有用であることを本分析結果は示唆している。
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