REIT投資顧問部 副主任研究員
髙橋 寛行
J-REITの投資家から見たDONAVの意義と投資判断への活用
要約・概要
- 資本コストや資本効率性を意識した運用戦略を提示するJ-REITが増加しており、運用上の新たなKPIとしてDONAV(Dividend On Net Asset Value)に言及する銘柄が出てきた。
- J-REITの投資家は、J-REITの運用戦略が資本コストに応えられるものか否かを、DONAVを通じて評価することが可能であり、DONAVはJ-REITの投資家にとっても意義のある財務指標である。
- DONAVは、J-REITの投資口価格の代表的なバリュエーション指標である分配金利回りとNAV倍率の積に他ならない。また、NAV倍率1倍に対応する分配金利回りに相当することから、当該J-REITが私募運用されることを仮定した場合の分配金利回りとして理解することもでき、ヒストリカルにはDONAVと分配金利回りの間に緩やかな連動・対応関係があることを確認することができる。
- DONAVは、J-REITに対する投資判断において、分配金利回り・NAV倍率による市場評価の銘柄間序列の解釈、NAV倍率のディスカウント状態の解消に向けた運用戦略の成否の検討、分配金利回り・NAV倍率を用いた投資口価格予想の検証手段といった活用が考えられる。