J-REITのESG開示情報をテキストマイニング(3)
<TF-IDF分析による重要取り組みの識別と、その活用例>

REIT投資顧問部 研究員   小西 勝也

要約・概要

 J-REIT各銘柄のESG取り組み状況を評価する上で、各取り組みの重要度を考慮することは不可欠だと考えている。一般的に開示情報内での出現頻度の高い単語(取り組み)の重要度が高いことに異論はないであろう。しかし、それ以外の取り組みの中にも重要度の高いものがあると考えている。例えば、現状実施する銘柄が少ない取り組みでも、今後、J-REIT全体でその重要性が共通認識となる可能性が高い取り組み等は評価上の重要度が高く、重視すべきである。そこで、本稿前半では、テキストマイニング手法(TF-IDF分析)を用いて、各単語の文書内での重要度を数値化し、各銘柄の開示資料内で重要度が高い(各銘柄が重要と考える)取り組み(単語)の抽出を行う。その上で、銘柄間比較することで、それら評価上重要な取り組みの識別を試みている。
 また、このように各単語を数値化し、文書をその集合と捉えて数量化することができれば、より高度な分析を行うことが可能となる。そこで、本稿後半ではその一例としてクラスター分析を用いた各銘柄の開示文書の類似度に基づく分類を行っている。
 分析の結果、定性的にみても違和感のない重要度が高いESG取り組みや、実施するESG取り組みの傾向が近い銘柄群を概ね把握することができた。本稿では各単語(各取り組み)の重要度に注目し分析を行ったが、前稿まで で紹介したテキストマイニング手法や、それ以外の手法とも組み合わせ様々な角度から分析を重ねることでJ-REITのESG取り組み状況のより深い理解が可能だと考えている。

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