不動産投資先として魅力が増している日本のデータセンター

投資調査第1部 副部長 主任研究員   菅田 修

要約・概要

  • データセンターへの投資は、日本では新しい分野として見られているが、グローバルで見ると、既に投資実績は多く、リアルアセットとしてのデータセンターに対し投資を実行中あるいは計画中のファンドは多い。
  • ファンドによる投資や開発(アセットファイナンス)は、データセンター事業者1社が同時にいくつものデータセンター開発・新設を並行で進めることを資金面から可能にし、データセンター事業者が自社のバランスシートで資金調達(コーポレートファイナンス)するケースと比べると、迅速な開発を可能にすると考えられる。
  • データセンター関連施設においても、アセットファイナンスのスキームは実行可能であり、データセンターに付随する設備だけでも投資対象になり得る。データセンター事業者の中には、資金調達しにくいことが成長の阻害要因となる企業も見受けられた。この阻害要因は、多様化する資金調達手法によって解消できる可能性があり、施設だけでなく設備もスピーディーに新設・拡張できる環境が整いつつある。
  • 直近では、物流用地や工場跡地等が、データセンターの開発用地として取得されるケースが目立つ。しかし、「日本で施設を管理運営するオペレーターの役割を担う企業が少ないこと」は未だ解消されたとは言い難い。
  • アセットファイナンスの手法を活用してデータセンター建設や転用を増やし、投資機会を増やしたい投資家は多い。そのためには、日本にはまだ少ないオペレーターとなり得る企業の増加が必要不可欠である。データセンターに投資するファンドが増加することは、データセンターを貸し出す不動産投資家、借り受けるオペレーターとなり得るデータセンター事業者の両方にとってWin-Winの関係を構築することができ、ひいては既に社会インフラとなっているデータセンターの増加や分散、最適化につながる。

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(本レポートは、株式会社インプレス「データセンター調査報告書2020」に寄稿したものに加筆・修正しています)

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