PPP・インフラ投資調査部門長 理事
福島 隆則
公的不動産(PRE)における官民連携(PPP)と証券化
<要約・概要>
公的不動産(PRE:Public Real Estate)をめぐる議論が、再び盛んになってきている。公的不動産(PRE)のマネジメントは、Research(調査)、Planning(計画)、Practice(実行)、Review(検証)のサイクルで行われるが、各自治体では、その起点となるResearch(調査)の段階として、「公共施設等総合管理計画」の策定が要請されている。
一方で我が国では、2009年頃から、官民連携(PPP:Public Private Partnership)についての議論も本格化してきている。昨年、政府は、今後10年間で12兆円規模のPPP/PFI事業の推進という目標も掲げた。
しかし、その目標の12兆円の一部として、公的不動産(PRE)の活用による事業も含まれており、我が国においては、公的不動産(PRE)と官民連携(PPP)の議論がクロスオーバーしてきていることがわかる。
その観点では、「証券化」の手法を積極的に活用し、官民連携(PPP)によって公的不動産(PRE)を資本市場と結び付けるような事例がもっと出てくることが望まれる。その究極の事例として、米国のGovernment Properties Income Trustという、政府系テナントに特化した物件を投資対象とする上場REITは、大いに参考になるだろう。我が国においても、庁舎を含む公共施設の証券化を目指す自治体の出現を、期待してみたい。
(本レポートは、ARES不動産証券化ジャーナルVol.20, 2014 July-August掲載の論文を転載したものである)
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