不動産投資の観点から見たインフラ投資

PPP・インフラ投資調査部門長    福島 隆則

要約・概要

 不動産投資とインフラ投資は、いずれも、形のある資産への投資を意味する実物資産(リアル・アセット)投資に該当する。また、両者はオルタナティブ投資に分類され、伝統的な株式や債券以外の資産に投資する点でも共通している。こうした投資はポートフォリオの分散効果や、長期にわたる安定したキャッシュフローからの高い利回りに期待するものである。
 一方で、不動産投資とインフラ投資には、相違点も存在する。インフラ投資は、エネルギーや交通、ユーティリティ、デジタルインフラなど、より多様な分野と幅広いサブセクターを持つ。また、インフラ投資は事業投資であることが多く、施設への投資である不動産投資とは投資スキームも異なることが多い。さらに、インフラ投資は不動産投資より社会的・環境的インパクトが大きく、そのためもあって、政治リスクに直面しやすいという特徴を持つ。
 日本のインフラ投資市場は、まだ黎明期であり規模も小さい。投資対象も再生可能エネルギー事業、なかでも太陽光発電事業に偏っており、投資機会は限定的である。しかし、前向きに捉えれば、今後の成長余地は大きく、発展が期待される市場と言えるだろう。
 なお、特に断りのない限り、本稿における「投資」は、ファンドを通じた国内資産への投資を意味するものとする。

(本レポートは、一般社団法人不動産証券化協会「ARES不動産証券化ジャーナルVol.81」掲載論文をもとに、加筆・修正したものである)

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