投資の最新トレンド「リアル化」とは?
~インフラ投資市場誕生の背景~

投資調査第1部 上席主任研究員    福島 隆則

<要約・概要>
 インフラに限らず「市場」というものが成立するためには、需要と供給の一致が必要となる。従って、我が国で今、インフラ投資市場が誕生しようとしているのは、インフラに対する需給が一致しつつあることを意味している。また、新たな市場の誕生は、新たなお金の流れやビジネスを生み出し、ひいては雇用促進、経済活性化などの効果ももたらすため、さまざまな立場の人が、このインフラ投資市場の誕生に期待し、そのことが更に需給の一致を後押ししているとも言える。
 そこで本稿では、こうしたインフラ投資市場が我が国でも誕生しようとしている背景について、需要者側と供給者側のそれぞれの視点に立って、考察を行っていくこととする。我が国のインフラは、所有・運営主体が公共のインフラが多くを占めるため、ここでの供給者は公共、需要者は民間を意味するものとする。更に、その民間も、インフラ・プロジェクトに直接関与する事業者(ストラテジック・インベスター)ではなく、純粋に経済的利益を追求する投資家(ファイナンシャル・インベスター)を主に想定するものとする。また最後に、リアルアセットとリアル化という、投資の最新トレンドについても述べてみたいと思う。

(本レポートは、一般社団法人不動産証券化協会「ARES不動産証券化ジャーナルVol.22」掲載論文を基に、加筆・修正したものである)

インフラの老朽化と膨らむ維持管理・更新費の負担

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