海外市場調査部 主任研究員
風岡 茜
【REITレポート】
10兆円を突破したJ-REIT市場と日本版ヘルスケアREITの創設に寄せて
<要約・概要>
J-REITは市場創設から10数年を経て、時価総額10兆円を突破しました。また、11月5日に上場した第一号のヘルスケア特化型REITである日本ヘルスケア投資法人と、高齢者向け住宅、病院等のヘルスケア施設に投資する新たなセクターの誕生が市場の注目を集めています。今後も複数REITが上場を計画する一方、高齢者向け住宅はすでに取得競争激化により組入資産を確保するのが困難となっていることから、次の投資対象として病院等の医療施設へも関心が高まっており、国土交通省によるガイドライン等の環境整備も進められています。
日本におけるヘルスケアREITの歴史はまだ始まったばかりです。オペレーター、医療従事者、施設利用者、投資家など多くの関係者からの信頼獲得と市場でのコンセンサス形成には、REIT側の説明や情報開示と一定の運用実績が必要とされます。米国のようにセクターが成熟するには、相応の時間がかかることでしょう。本稿では、まずはその足がかりとして、日本のヘルスケアREITの特徴を「投資対象」「オペレーター」「利回り」の三つの観点に分けて整理しました。本稿がヘルスケアREITセクターおよびJ-REIT市場発展の一助となれば幸いです。
(※本稿は、当社ホームページ2013年4月15日掲載「海外のヘルスケアREIT概観~日本版ヘルスケアREITの創設に向けて」の続編です。海外のヘルスケアREITに関しては同レポートをあわせてご参照ください)
関連レポート・コラム
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