駅近コンパクトタイプのアパートは、賃料の経年変化から見た安定性が最も高い

投資調査第1部 研究員 髙林 一樹

要約・概要

・2020年3月3日に当社HPで公表した「アパート・マンションの物件属性が賃料単価に与える影響の違い」において、築年数経過による賃料単価の下落(以下、経年変化)の程度は、賃貸アパートと賃貸マンションで同水準の可能性があると指摘した。
・本レポートではこれを深堀りし、「①物件種別:賃貸アパート/賃貸マンション」、「②物件タイプ:シングルタイプ(専有面積18㎡以上30㎡未満)/コンパクトタイプ(専有面積30㎡以上60㎡未満)」、「③最寄駅からの距離:近い(7分未満)/遠い(7分以上)」、の3つの観点から、賃料の経年変化の違いを分析した。
・①物件種別では、賃料の経年変化は築15年程度までは賃貸アパートの方が小さいが、築年数の経過と共にその差は薄れ、築25年以降は代わって賃貸マンションの方が小さくなる。
・②物件タイプでは、賃料の経年変化は賃貸アパートと賃貸マンション共に、全期間を通じてコンパクトタイプの方が小さい。
・③最寄駅からの距離では、駅から近い方が賃料の経年変化が小さいとの仮説を立てたが、これが明確に確認されたのは「コンパクトタイプの賃貸アパート」のみであった。賃貸マンションでは、最寄駅からの距離によって違いはほぼ生じなかった。
・以上の結果から、賃料の経年変化が最も小さいのは「駅近のコンパクトタイプの賃貸アパート」となる。賃料の経年変化が小さいという意味で、賃料の安定性が高い投資物件を選ぶのであれば、当該物件が有力な候補となろう。ただし、コンパクトタイプはシングルタイプと比較して賃料単価が落ちること、賃貸アパートは築古になるにつれ賃料の経年変化が大きくなること、の2点に留意が必要である。

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-本レポートはLIFULL HOME'Sとの共同研究の成果です。
築年数の経過が賃料に与える影響度の違いを「3つの観点」から比較~賃貸マンションと比較した賃貸アパート実態分析④-1

経年変化からみた賃料安定性が最も高い物件条件とは~賃貸マンションと比較した賃貸アパート実態分析④-2
 ※LIFULL HOME'Sのホームページにリンクしています。

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