J-REITで加速する気候変動リスクへの対応

REIT投資顧問部 上席主任研究員   堀 明希子

要約・概要

  • 気候変動問題の高まりを受け、J-REITにおいても複数の投資法人がTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、気候変動が与える財務的影響について開示を始めた。
  • 投資法人の開示によれば、J-REITにとって財務的影響の大きい移行リスクは、CO2排出コストの増加、規制強化やテナントの志向変化に伴う環境性能の低い物件の需要減少、気候変動リスクへの対応の遅れによる資金調達コストの上昇に集約される。
  • 上記リスクへの対応として挙げられるCO2排出量の削減、環境認証取得比率の向上、グリーンファイナンスの拡大については、既にJ-REIT全体として取り組みの加速が確認できる。市場創設来20年、J-REITは不動産投資市場を牽引し、安定分配の投資商品としてその地位を確立してきた。気候変動リスクへの対応でも引き続き投資家の信頼に応え、脱炭素社会においても選ばれる投資先となることを期待している。

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