私募投資顧問部 副部長 上席主任研究員
米倉 勝弘
私募REITに求められる流動性とは
<要約・概要>
非上場オープンエンド型不動産投資法人(以下、私募REIT)の運用が開始されてから早くも5年半が経過した。私募REITは投資口価格の安定性と一定の流動性を兼ね備えた商品として注目を集めているが、この5年半の間、不動産投資市場の推移が堅調であったため、不動産マーケットサイクルを経験していないという懸念材料がある。
「私募REIT市場拡大のために必要な項目」についてアンケートを実施した結果では上位グループとして、「銘柄数や資産規模の拡大」、「トラックレコードの蓄積」、「換金性の向上(頻度、払戻制限の緩和等)」、「ファンドに投資する投資家層の拡大」が挙げられた。この中で「換金性の向上(頻度、払戻制限の緩和等)」という項目は、仕組上の要因という意味で他の項目とやや性質が異なっている。そこで、本稿では、私募REITの換金性(流動性)に焦点を当てて考察を試みた。
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