欧州不動産投資市場で存在感を高めるドイツ

私募投資顧問部 副主任研究員   三武 真知子

要約・概要

 グローバル不動産投資戦略の構築にあたり、欠かすことのできない欧州。その中でも投資先として不動の人気を誇っていた英国がBREXITを巡り混迷を深める中、近年人気を高めているのがドイツである。ドイツの不動産投資市場は、古くから個人向けオープンエンドファンド商品が普及しているため投資家層が幅広く、市場規模や透明性の観点でも評価の高い市場であるが、欧州全体では長らく英国に次ぐ2番手の位置にとどまっていたといえる。しかし、BREXITを巡り英国が迷走を続ける中で、2016年、2018年と年間不動産取引額が英国を上回り、不動産私募ファンド市場においても、英国では投資資金の流出が流入を上回る純流出となっている一方、ドイツにおいては資金流入が強まり、市場規模の拡大も続いている。米中貿易摩擦やBREXITを巡る混乱を契機としたグローバルな景気減速はドイツ経済にもブレーキをかけており、好調な不動産市場への波及も懸念されるが、欧州不動産投資市場の牽引役となり、存在感を高めているドイツ市場の動向を今後も注視していきたい。

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