グローバル非上場不動産ファンド市場の動向
~クローズドエンドファンド、オープンエンドファンド市場の資金フローの観点から~

私募投資顧問部 副主任研究員   三武 真知子

要約・概要

 先進国を中心にグローバル不動産市況は堅調さを保っている。ピークアウトが近いのではないかという懸念がくすぶる中でも、投資家のグローバル不動産への投資意欲は引き続き旺盛であり、非上場不動産市場ではエクイティ投資家の資金流入が再び加速している。INREV・ANREV・NCREIFが共同で行っているエクイティ資金調達状況に関する調査によれば、2017年の非上場不動産市場全体での資金調達総額は、前年比25%増の1,523億ユーロにのぼり過去最大となった。また、非上場不動産市場で主要な投資対象であるクローズドエンドファンド市場では、資金調達を完了したファンド数が減少傾向にある一方で、著名なファンドマネージャーが組成した大型ファンドには潤沢な資金が流入している。もう一つの主要な投資対象であるオープンエンドファンド市場では、エクイティ資金のフローは各主要市場で異なるが、市場規模では各市場で拡大が継続している。アウトバウンド投資を模索する日本の投資家を含めた世界中の投資家にとって、クローズドエンド、オープンエンド商品はともに引き続き主要な投資対象となることが予想され、今後もそれぞれの市場の個別の指標や、両市場の関連性を含めた全体動向を注視していく必要があると考える。

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