ESGの取組意識が高いJ-REIT、次はTCFD対応が投資判断のポイントに

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

要約・概要

 J-REITは、中長期的な資産運用を行う観点から環境不動産に対する意識が高く、早い段階から運用資産の省エネ化やGHG(温室効果ガス)排出量削減に取り組んできた。投資家のESG意識が高まりつつある昨今、J-REITのESGへの取組は加速し、環境不動産市場形成のトップランナーとして投資家から高く評価されている。
 J-REITでは、近年の特徴的な動きとしてサステナブルファイナンスと呼ばれるESGに特化した資金用途の資金調達手段がみられる。グリーンボンドを発行する、そのためにまずグリーン適格資産を拡大させるという流れによって環境認証取得物件の優位性が高まり、かつSDGsに貢献する好循環がJ-REIT各社のなかで醸成されつつある。
 J-REITがこれまで実施してきた様々な環境不動産への取組が、TCFDの対応力向上にも役立っている。今後は、J-REIT各社のESGへの取組意識に加え、TCFDにどのように向き合っているかが、投資判断をする上で重要なポイントになるだろう。

トピック

  • GRESB参加率に見るJ-REITのESGに関する取組意識の高さ
  • J-REITのGRESB参加者の裾野が広がる
  • 投資主構成にみるGRESBへの参加動機
  • グリーンボンド発行体は環境への取組が積極的となる
  • グリーンボンドが生み出す好循環
  • これまでの環境への取組がTCFD対応力を強化する

(株式会社 東京証券取引所 「Jリートview ESG特集・第6回」 寄稿)

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